本当に美味しいひものとは、どのように作られるのか? 奥和のひものを、子どもの頃から、35年近く食べ続けてきた。 「よそのひものとはまったく違う」ことを、舌で知っていた。 とは言うものの、その味の違いがどこから来るのか、全く知らなかった。 そこで、現地に赴いた。 宮城県で水揚げされたキンメダイのひもの  沼津のとなり三島を流れる柿田川湧水、狩野川は、富士山の火山岩を通った雪溶水で、真夏でも冷たく清冽。この豊かな水系は黄瀬川と合流し、河口の沼津へとつながり、美味しい干物づくりにも欠かせない。 2025年9月25日、朝8:40 JR品川駅の新幹線北口改札に集合。メンバーは14名ほど。 品川から三島駅までは新幹線ひかりで約30分。そこから沼津へはひと駅。タクシーでおよそ10分。あっという間に工場に着いた。 この東京から「あっという間」の距離が、沼津が歴史的に日本一のひもの産地へ成長した理由のひとつだと後で知る。 富士山が近いことも美味しいひものの大前提にある まずは原料について。 鯵は九州沖の対馬の海域で4月から6月に穫れた旬のものを、まる一年分競り落と