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    世界イタリア 料理週間 (World Italian Culinary Week) 記念昼食会@アンティーカ・オステリア・デル・ポンテ丸の内

    更新日:11月23日


    イベントの概要を記したカード(裏面に調味料のトピックスを記したQRコードが記載されている)
    イベントの概要を記したカード(裏面に調味料のトピックスを記したQRコードが記載されている)

     

    2025年11月20日、さわやかな秋晴れのもと、イタリア大使館ならびにイタリア大使館貿易促進部主催のイベントとして、2025年で10回目となる世界イタリア料理週間の記念昼食会にご招待いただき、筆者も参加した。詳細を以下の通りレポートする。


    開会直前にブラインドが上がる粋な演出。目も覚める青空にゲストから思わずため息が漏れた。
    開会直前にブラインドが上がる粋な演出。目も覚める青空にゲストから思わずため息が漏れた。

    2025年のテーマは「イタリア料理と健康、文化、創意工夫」。

     開催場所は東京丸の内の丸ビル36階のアンティーカ・オステリア・デル・ポンテ。

     特別ランチコースは前菜2種類、魚介、プリモ、肉、ドルチェとカフェの7皿。

    イタリア政府関係者とメディア、ジャーナリスト、食の専門家の交歓会となった。


     イタリア大使館よりベネデッティ大使名代としてアンドレア・デソグス(Andrea Desogus)一等書記官の開会の挨拶に始まり、イタリア大使館貿易促進部の副部長ジョヴァンニ・デッレドンネ(Giovanni Delle Donne)氏によるイベントの概要説明、アンナ・イエーレ(Anna Iele)氏〔農業・食糧アタッシェ〕によるイタリア農産品の日本での輸入状況説明、1953年設立のイタリア政府の文化機関「アカデミア・イタリアーナ・デッラ・クチーナ」のエマヌエラ・オリギ氏(Emanuela Orighi)によるイタリア料理の文化的意義の説明、最後にイタリア大使館貿易促進部の部長ジャンパオロ・ブルーノ氏(Gianpaolo Bruno)の閉会の挨拶で締めくくられた。


    アンドレア・デソグス(Andrea Desogus)氏
    アンドレア・デソグス(Andrea Desogus)氏

    ジョヴァンニ・デッレドンネ(Giovanni Delle Donne)氏
    ジョヴァンニ・デッレドンネ(Giovanni Delle Donne)氏

     

    エマヌエラ・オリギ(Emanuela Orighi)氏
    エマヌエラ・オリギ(Emanuela Orighi)氏

     各氏のスピーチの要旨は大きく2つのポイントに絞られる。ひとつはイタリア料理のユネスコ無形文化遺産登録に向けての文化的・社会的意義。イタリア料理は健康的であり、文化的産物であり、長い伝統に裏打ちされた慣習に基づくものであり、地域のアイデンティティの根源を成すものであるということ。

     

     もうひとつはイタリアの農産物加工食品にとっての日本市場の重要性だ。日本のイタリア料理専門店は5000軒を超えると言われ、氷山の一角に過ぎないとも言う。2025年8月の統計では1兆2000億ユーロのイタリア食材が日本に輸入されており、特にパスタとトマト、オリーブオイルそしてワインが大きな比重を占めている。

    アンナ・イエーレ(Anna Iele)氏
    アンナ・イエーレ(Anna Iele)氏

     

    その点で気になるのは、来年3月に開催されるFOODEX2026でのイタリア産サラミ、生ハムの完全輸入再開を目指している。日本ではすでに加熱されたハム(プロシュット・コット)は再開が始まっているが、早くイタリアの美味しい生ハムが楽しめるようになってほしい。ゲストの幾人もが口々にそれを待ち望んでいた。


     イタリア料理のユネスコ無形文化遺産への登録申請の結果を来月12月に控えている。筆者が探求しているイタリアのワインと同様に、イタリア料理もまた多様で複雑な文化、自然環境を体現している。イタリア料理のユネスコ無形文化遺産への登録が切に待ち望まれる。


    ジャンパオロ・ブルーノ(Gianpaolo Bruno)氏
    ジャンパオロ・ブルーノ(Gianpaolo Bruno)氏


     今年の昼食会のテーマは「調味料」。エキストラヴァージンオリーブオイル(EVO)、赤・白ワインビネガー、イタリアの海の塩についての歴史的な由来および使い方についての情報をまとめたカードが配られた。(期間中8つのレストランでも配布予定)


     たとえば塩について。筆者は2023年初夏にシチリアのトラーパニの塩田とモリーネ(風車)に訪問したことがあるが、そこの塩は海のミネラルに富み、色は灰褐色~白色で、わずかながら水分を含んでいた。すぐそばには野鳥が多く訪れる豊かな自然環境が広がっていた。昔ながらの風車によってくみ上げられる海水を天日で塩に仕上げていく職人の伝統の技について学んだ。同じイタリアでも地域によって、また製法によって多様な塩が生まれるのだ。このようにイタリアの調味料は地域と伝統、それを守る人びとの創意工夫によって無限ともいえるバリエーションがあると言えるだろう。


    【試食の感想】

     実は日本の食材とイタリアの調味料はとても相性が良い。すでにEVO(エキストラヴァージンオリーブオイル)と日本の刺身との相性の良さはカルパッチョを始めとして定着しているが、さらにイタリアの各地の塩やはちみつ、ビネガーなどの調味料もまた使い方によって日本の食材を大いに引き立てる可能性がある。それを効果的にプレゼンテーションするためのランチとなっていた。


    アンティーカ・オステリア・デル・ポンテ東京店 

    総料理長 ステファノ・ダル・モーロ (Stefano Dal Moro)氏の

    コース料理のメニューは以下の通り。


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    〔アミューズ〕

    APERITIVO DEL GIORNO 本日のアペリティーボとして

    (新鮮なウニとEVO(エキストラバージンオリーブオイル)、サルデーニャの塩)

    《メモ》サルデーニャの塩は、ウニの甘みに柔らかい塩味と旨味をプラス。


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    〔前菜1皿目〕

    FLAN DI ZUCCA CON ACETO BALSAMICO TRADIZIONALE DI MODENA

    カボチャのフラン  モデナ産バルサミコ

    《メモ》甘いフランをバルサミコが引き立てていた。

    筆者は2016年に伝統的な家族経営のバルサミコのアチェタイオを訪問したことがあるが、本当に気が遠くなるほど長い時間をかけて小さな樽(桜や栗などさまざまな木材を使用)に移し替えていく作業が印象的だったのを思い出した。本物のバルサミコは、上質なワインに匹敵するくらい、驚くほど余韻が長い。


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    〔前菜二皿目〕

    CAPPESANTE SALTATE CON PURE DI RAPA, RIDUZIONE DI ACETO DI VINO ROSSO E MIELE ホタテ貝のソテーのピューレ、イタリア産ハチミツと赤ワインビネガー

    《メモ》ハチミツとビネガーのソースの甘酸っぱさ(アグロドルチェ)がホタテの旨味をさらに引き立てていた。


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    〔プリモ〕

    FUSILLI TRAFILA BRONZO CON SALSICCIA FATTA IN CASA CIPOLLA BIANCA ALLA VENEZIANA CON ACETO DI VINO BIANCO E ROSMARINO

    ショートパスタ“フジーリ” 沖縄産キビまる豚のサルシッチャ

    タマネギ、ローズマリー、白ワインビネガー

    《メモ》煮込んだ玉ねぎの甘みが冬を感じさせた。しつこくならないのはビネガーの効果。



    〔↓ここまで:アッビナメント=ワインとの組み合わせ〕

    前菜と魚の一皿にはボリチーネ(泡)はプロセッコ。きめ細かく立ち上がる泡が秀逸。

    ならびに白ワインはグリッロ(GRILLO)。白い藤の香り。穏やかな酸とミネラルが調和し寄り添っていた。

    乾杯!(Salute!)
    乾杯!(Salute!)

    〔セコンド〕

    FILETTO DI BUE GIAPPONESE SALTATO

    CON OLIO AROMATICO

    E FIOCCHI DI SALE MARINO

    和牛ヒレ肉のソテー 

    オーリオ アロマティコとイタリアの塩


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    《メモ》和牛に合わせる塩はクリスタルの結晶が美しい。塩気は意外にもマイルドで、すべて肉に乗せて食べてもしょっぱくならないのが不思議だった。むしろこの塩によって肉の旨味が強調され、またさらに塩の触感もざくざくとしていてアクセントになり面白い。初めての食感だった。結晶化した塩は、リストランテならではの特別な演出効果がありそうだ。



    〔アッビナメント=ワインとの組み合わせ〕

     肉のセコンドに合わせるペアリングのワインはシチリアのネーロ・ダーヴォラ。繊細な和牛に合わせて、主張しすぎないタンニンの控えめなワインにしたのだろうか?個人的にはもう少しメリハリのあるワインでも良さそうとも思った。

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    DOLCE

    本日のドルチェは、マルカルポーネのティラミス 

    《メモ》ふんわり優しい口当たりで、非常に美味しい。家庭の味をリストランテの趣で。


    PICCOLA PASTICCERIA

    プティフール

    ビスコッティ(カントゥッチーニ)と柑橘のジェリー


    CAFFÉ o TÉ

    コーヒー 又は 紅茶


    (以上)


    13時開催、15時過ぎにはお開きとなったコンパクトな昼食会だが、楽しく有意義な時間を過ごすことができた。イタリア大使館ならびにイタリア大使館貿易促進部の皆様、リストランテの格のあるホスピタリティに溢れたアンティーカ・オステリア・デル・ポンテの皆様、ゲストの皆様ありがとうございました。


    イタリア製のTavalloのマントとPanizzaのハットをまとい、エントランスにて。(撮影:宮丸明香氏)
    イタリア製のTavalloのマントとPanizzaのハットをまとい、エントランスにて。(撮影:宮丸明香氏)

    眼下に東京駅を見下ろす。
    眼下に東京駅を見下ろす。

     
     
     

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