

イタリアワインは「飲む歴史」
世界の教養人はなぜイタリアをめざすのか?
その答えはグラスの中にある。
一杯のワインから見えてくるイタリアの歴史と文化。

古代から連綿と続く葡萄栽培醸造の歴史。
イタリアのたぐいまれな自然と、葡萄と、人間が織りなす珠玉の物語。

「こんなやり方を五〇〇年も続けているのです」
搾汁から瓶詰まですべて宮殿内でワインをつくる貴族はわたしに言った(第3章より)

「晴朗きわまる共和国の海軍提督は、同時に農民でもあったわけです」 とその末裔は語った。
ヴェネツィアワインをめぐる一一〇〇年の物語(第6章より)

「それに眺めているだけで素晴らしい。すべての丘がまるで大地から突き出た舌みたいだろう。
その舌(リングエ)がなまってランゲになった」
ランゲの美しい風景そしてバローロ誕生の秘話(第7章より)
イタリアワインは「飲む歴史」。
「イタリアのワインはどうしてこんなに種類が多くて分かりづらいの?」 その答えは、
イタリアの類まれに豊かな自然と、複雑な歴史を生き抜いてきた人間の営みにあります。
本書はイタリア渡航歴30年の著者が、2010年から2025年の約15年間にわたり、イタリアの食とワインの謎を追って、北から南まで現地を歩き、60名を超える葡萄栽培醸造家やエノガストロノミア(美食とワイン)の達人たちにインタビュー取材した成果です。
イタリアの歴史は、開けても開けても新しい発見がある「入れ子の箱」。よそ者からの度重なる支配を受けながらも、イタリアの人びとは生まれついた土地の自然を静かに見つめ、何世紀もの間、葡萄の伝統と豊かな独自の食文化を繋いできました。
本書に描かれるものは、ワインという名の「単なる液体」ではありません。足のすくむような段々畑で葡萄を育てる人々に象徴されるような、逆境にもめげずに、「心豊かに美しく生きる人間の物語」なのです。
本書は、まるで寄木細工のピースのような「入れ子の箱をひとつひとつ開ける」ように、ヨーロッパの教養の礎であるイタリアの歴史を紐解きます。
【本書のみどころ】
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厳しい自然にもめげない「英雄の葡萄栽培醸造」
崖の上の段々畑や、アクセス困難な場所で知恵を絞り、自然と対話しながら奇跡のように美しいワインを生み出す、不屈のつくり手たちの生き様を描きます。
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修道士たちが現代へと繋いだ、イタリアの葡萄の生物多様性
フランスの約300種に対し、イタリアには1800種類以上もの葡萄があると言われます。かつて修道士たちが愛おしみ育ててきた「種の豊かさ」の秘密に迫ります。
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強烈な愛郷心(カンパニリズモ)が育むワインの個性
「隣近所には決して負けまい」という、強い職人魂を持つ人びと同士の切磋琢磨が磨いてきたイタリアワインの発展のプロセスと、ワインの多様性を探ります。
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大地の記憶を呼び覚まし、時空を超えるワインの旅
古代ローマやギリシア、エトルリア人が大地に残した過去の断片を、現代のワインのつくり手たちが丹念に拾い集めて今に活かす。彼らの歴史への思いに迫ります。
【こんな方におすすめ】
★「知識」の詰め込みではなく、ワインを「人間のドラマ」で味わいたい方へ★
本書はワインの格付けや品種を網羅したり暗記することを初めから意図しません。むしろ、つくり手の「不屈で前向きな生き方」や「家族の歴史」に焦点を当てることで、ワインづくりを通じて「美しく生きるとはどういうことか?」を描きます。
本書はグラスの向こうに見える風景とイタリアの「人生の達人」に出会う旅です。
どこを旅しているかは、見やすく分かりやすい地図が、あなたを見知らぬ土地へと案内してくれます。
★ヨーロッパの教養の礎であるイタリアを知りたい方へ★
イタリアの美しい風景、遺跡、城、考古学の遺物、美術品の数々。これらは数千年にわたり教養ある人の知的好奇心をかきたててきました。「寄木細工のピースを手にとって、入れ子の箱を開けていく」ような体験。それは、なぜ世界の教養人はイタリアを目指すのか?という問いへの答えにもつながります。
本書は、「単なる液体」ではない自然と葡萄と人間の相互作用から生まれる「教養としてのワイン」を体験したいあなたへおすすめです。
【目次】
はじめに
序章 段々畑と干し草のワイン
第1章 海に収穫へ!
歴史コラムⅠ エノトリア人の「イタリア」
第2章 人格を持つアルベレッロのワイン
第3章 プルーン香の貴族のワイン
歴史コラムⅡ エトルリアの木と結婚した葡萄樹を探して
第4章 石灰華(トラバーチン)のワイン
第5章 ヴェネツィアの潟(ラグーナ)がくれた塩のワイン
歴史コラムⅢ 〈農の知〉の系譜
第6章 ヴェネツィア最後の海軍提督のオレンジの花
第7章 太古の海と大地の記憶のワイン
前編 「神に祝福された場所」セッラルンガ・ダルバ
後編 バローロとイタリアの夜明け
おわりに
謝辞
文献
【著者略歴】
櫻井 芙紗子(さくらい ふさこ)
ジャーナリスト、ソムリエ。イタリアとの関わりはおよそ30年。12年間にわたるボローニャ国際児童図書展の仕事の合間に通いつめた老舗の酒屋 Enoteca Italiana s.r.l.での修業を経て、現地でソムリエ資格を取得。単独でイタリアを訪れ、撮影、イタリア語での取材から執筆までを一貫して行う。2019年より「イタリアワイン文化講座(ACCVI)」を主宰し、生産者と日本の愛好家を繋ぐ架け橋となってきた。2023年、日伊の文化相互理解に大きく貢献したとして、伊日財団より「ウンベルト・アニエッリ記念ジャーナリスト賞」を在日イタリア大使館にて受賞。2024年、シエナ外国人大学での講演や、2025年、大阪万博イタリア館への登壇など活動は多岐にわたる。
本書が初の単著となる。

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